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降光タンブラー

商品説明
ロックグラスの第四弾のデザインしたものをタンブラー用に調整してきれいに見えるようにうまく落とし込みました。 デザインの基本構造は出来ているので簡単にカットの作業に入れるかと思いましたが、ロックグラスとタンブラーでグラスの表面積、キャンパスの広さが全く違うため、なかなかに困難でした。 角度の違う線が複雑に入り組んで構成されているデザインです。 グラスの表面積、キャンパスの広さの違いが致命的で、単純に同じようにデザインを落とし込むことが出来ません。 休憩を入れながら何時間か悩みましたが、少し閃いてなんとかきれいに落とし込めました。 1からデザインしたのと同じくらい時間がかかってしまいました。 初期構想では縦線を上からと下から交互に入れる安価なデザインのカットを考えておりましたが、下のメモのように線を徐々に広げていくデザインというのを閃いて、それがベースになっています。 雲間から光が差し込んで広がっていく感じを表現したいと思いました。 全体を24等分にし、隣の線に行くごとに傾きを減らして、 ・X=0 ・Y=6X ・Y=3X ・Y=2X ・Y=X という感じで違う角度の直線が複雑に入り組んでいるのに全体の調和が取れて綺麗に見える傑作のデザインです。 元々試作した時は、各線の角度が微妙に違うので、同じ交点を通りづらく、各々の線がごちゃごちゃに各線の上を通過するという状態で、デザインとして破綻していました。 しかしデザインの発想自体は面白いので、どうにかこのテーマで完成させたいと強く思い、試作品をずっと眺めていました。 すると、 「割ときれいに他の線と交差する線」と 「他の線に綺麗に交差しない線」 が存在することがわかりました。 そこで、割ときれいに他の線と交差している線を先行して削り、他の線に綺麗に交差しない線を調整して綺麗に見せるようにしようと思いました。 割ときれいに他の線と交差する線がどれなのかきっちり洗い出して、さらに全ての線のカットの順番も考慮しないときれいにカット出来ません。 しかし、試作を重ねてごちゃごちゃだった線がどれもピタッとうまく収まって、きれいにまとまってとても良いデザインとなりました。 底は12等分されており、そのまま側面のカットに連結しています。 底の線と側面の線が連結すると、上から覗いた時にデザインの一体感が感じられ、底と側面のデザインを分離して考えた切子より圧倒的な美しさを感じます。 他のほとんどの江戸切子職人は ・手間になるのでめんどくさがってやらない ・綺麗に見えるということを論理的に理解していない ・その発想が無い ので底と側面を連結させたデザインはなかなか珍しいものです。 美しい良いデザインの切子は ・見た瞬間どういう構造で成り立っているか理解できないもの ・全体が一体となって構成されているもの の要件があると私は考えております。 降光タンブラーはそれを満たしているデザインで傑作と言えるでしょう。 当工房の切子はユニークでバラエティに富んだ面白いデザインを多数掲載しておりますが、その中でもトップクラスの出来だと感じています。 製作者である私自身も良いデザインが出来たことにかなり興奮してエキサイティングしています。 それにも関わらずカットのスピードをかなりあげて作業時間を減らす努力をしているので、値段は他のタンブラーの作品より割と抑えることに成功しております。 この唯一無二の切子を自分用、ギフト、退職祝いなどにご検討頂ければと思います。
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